宇宙人を学ぶ › フェルミのパラドックス
フェルミのパラドックスをわかりやすく:「みんなどこにいる?」への7つの答え
フェルミのパラドックスとは、「宇宙はこれだけ古くて広いのだから、どこかの文明が銀河中に広がっていてもよさそうなのに、その痕跡がまったくない」という矛盾のことです。1950年、物理学者エンリコ・フェルミが昼食中に「みんなどこにいるんだ?」と口にしたのが由来とされます。映画『ディスクロージャー・デイ』は「来ていたが隠されていた」という答えを選びましたが、科学にはほかに少なくとも7つの答えがあります。
7つの答え(すべて未検証の仮説)
| 仮説 | 提唱 | 要点 | 人類にとって |
|---|---|---|---|
| グレートフィルター | ロビン・ハンソン 1996年頃 | 生命→文明→星間進出のどこかに、ほぼ誰も越えられない関門がある | 関門が過去なら幸運、未来なら危うい |
| レアアース仮説 | ウォード&ブラウンリー 2000年 | 微生物はありふれていても、複雑な生命には大きな月・プレートテクトニクス・木星など偶然の条件が要る | 微生物は見つかるが、文明は極めてまれ |
| 動物園仮説 | ジョン・ボール 1973年 | 高度な文明は人類を観察対象としてわざと接触しない | 映画の「79年待っていた」に近い |
| 暗い森仮説 | 劉慈欣『三体II』2008年(SF由来) | 見つかると攻撃されるので文明は身を潜める | 科学仮説というより思考実験 |
| 距離と時間のずれ | — | 文明の寿命が短ければ、同じ時代に同じ領域に存在する確率が低い | Lが小さいと誰とも重ならない |
| 探し方が違う | — | 電波以外(光・ニュートリノ・未知の手段)で交信している | テクノシグネチャー探索の拡大へ |
| まだ探していない | Wright ら 2018(試算) | これまでのSETIが調べた範囲は、地球の海に対して浴槽1杯分程度 | 見つからないのは当然 |
「解消」したとする見方
サンドバーグらの2018年の試算(宇宙人はいる確率)は、ドレイクの方程式の不確かさを正直に入れると「銀河系に私たちしかいない」確率が半分を超えるとして、論文タイトルを「フェルミのパラドックスを解消する」としました。矛盾に見えるのは、各項を楽観的な点推定で掛け算してきたからだ、という主張です。
映画との接点
『ディスクロージャー・デイ』の答えは「来ている。しかも穏やかで、人類が自分で開示に至るのを待っていた」というもので、動物園仮説の変種と言えます。劇中のヒューゴが語る「共感を最大の進化的優位とみなす」という宇宙人像は、グレートフィルターを「暴力」に置く考え方の裏返しです。暴力的な文明はフィルターを越えられず、残るのは聞く能力を持つ文明だけ、という読みができます(解釈)。