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太陽系で生命を探す:火星の「潜在的バイオシグネチャー」、エウロパ、エンケラドス、リュウグウ

宇宙人を探す前に、まず「生命」を探す。その最前線は124光年先ではなく、太陽系の中にあります。2025年9月に NASA が発表した火星の「潜在的バイオシグネチャー」は、人類がこれまでで最も生命の証拠に近づいた瞬間でした。

火星:サファイア・キャニオン

2025年9月10日、NASA は探査車パーサヴィアランスが2024年7月に採取した試料「サファイア・キャニオン」(ジェゼロ・クレーターの古い川の谷の岩「チェヤバ・フォールズ」から)に、潜在的バイオシグネチャーを確認したと発表しました(論文は Nature)。岩の「ヒョウ柄」の斑点に、ビビアナイト(含水リン酸鉄)とグレイジャイト(硫化鉄)が含まれ、微生物が有機物を使って起こす電子のやりとりの痕跡と似ています。

潜在的バイオシグネチャーとは(NASA の定義):生物由来の可能性があるが、結論には追加のデータや研究が必要な物質や構造。高温・酸性条件でも同じ鉱物はできますが、この岩にはその証拠が乏しい、というのが NASA の説明です。

断定するには地球に持ち帰って調べる必要があります。ところが火星サンプルリターン計画は、2026年1月の米予算法で事実上打ち切られました。試料は今も火星に置かれたままで、中国の天問3号(2028年頃打上げ計画)が先に火星試料を持ち帰る可能性が報じられています(計画段階)。

2025年3月には、別の探査車キュリオシティが火星で最大の有機分子(炭素10〜12個の鎖)を検出しています。脂肪酸の断片の可能性があります。

氷の下の海:エウロパとエンケラドス

天体何があるか探査
エウロパ(木星)氷の下に地球の海より多い水があると考えられるエウロパ・クリッパー:2024年10月打上げ、2030年4月11日に木星周回へ。目的は「住める環境か」の評価
エンケラドス(土星)南極から海水が噴き出す。2023年にリン酸塩、2025年10月に噴出直後の氷粒から新しい有機分子カッシーニのデータ解析が続く
タイタン(土星)メタンの川と湖、厚い大気ドラゴンフライ(回転翼機):2028年7月打上げ、2034年到着予定

生命の材料は宇宙にありふれている:ベヌーとリュウグウ

NASA のオシリス・レックスが持ち帰った小惑星ベヌーの砂からは、タンパク質に使う20種のアミノ酸のうち14種と、DNA・RNA の核酸塩基5種すべてが見つかりました(2025年1月)。JAXA のはやぶさ2が持ち帰ったリュウグウの砂でも、2026年3月に核酸塩基5種すべてが確認されています(JAMSTEC ほか、Nature Astronomy)。

意味は明確です。生命の「材料」は太陽系ができた頃からありふれていた。ただし材料があることと生命がいることはまったく別で、ここを混同しないのがこのコーナーの約束です。

地球の生命の「限界」

122℃でも増殖するメタン菌(2008年報告、JAMSTEC)、強い放射線に耐えるデイノコッカス、真空と乾燥に耐えるクマムシ。地球の極限環境微生物は、他の天体で生命が住める条件の幅を広げ続けています。

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